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漢字1文字から始まって

 今年を表す漢字は「災」とのこと。残念ではあるが仕方ないと思う。
 少し前に他blogで行われていたTB企画「今年一年を漢字1文字で表すと?」を自分について考えてみた。ネット関係に限定すれば「増」か。僕が書く量も読む場所も割く時間も、そしてここを読んでいただく方も大きく増えた。新しいことやソフトをいろいろ導入して、出費も増えた。一方、ネット以外での特記事項は、囲碁で新聞に文章を書くようになったことくらいか。ネットとの合わせ技で考えると「書」の一文字ということになる。
 …大して面白くない。

 1文字での表現は難しい。ちょっと趣向を変えて、既存の言葉の漢字を1つ変えてみよう。そんなことを考えていた時思い出した、最近聞かないし使いにくくなった言葉がある。

 「罪を憎んで人を憎まず」だ。

 ひどい犯罪が多く、そんなことを言っていられないような雰囲気を感じる。もちろん、僕が子供の頃にもひどい事件はあったはずで、「人を憎まず」とはいかない状況は同様にあっただろう。それでも、そのような事件の頻度の差を強く感じたからこそ、今口に出せば笑われるのではないかという思いとともに、急にこの言葉を思い出してしまったのかもしれない。そんなことさえ考えてしまう。

 これを1文字変えようとしてすぐにできた言葉が「文を憎んで人を憎まず」だ。「文」は「ふみ」と読んでほしい。
 なぜこのような変化をさせたのか自分でもわからない。「文は人なり」を何度も書いてきた僕にとっては、一見、自己矛盾もいいところ。でも、「矛盾」の一言で切り捨てる前に、せっかくなのでフォローを考えてみよう。

 「文は人なり」とはどういう意味だろう。僕は、「文を読めばその人がわかる」という意味ではなく、「文にその人が表れる」という意味で使っている。読解力がある人や人生経験が豊富な人は前者の立場にいるかもしれないが、僕はその域に達していないし、その人がわかるなどと言えるほどの人間でもない。ただ、後者なら感じられる部分がある。文に表れたその人の一面を好きになり、コメントを書いたりTBしたりするのも、感じたことが行動になった結果だ。
 少し前までは、文を入り口にその人を知るという手順は、その対象になるのは物書きを職業にする人くらいだった。それが今ではごく当たり前のことになっている。でも、当たり前になったからといって、文を読んでその人がわかる能力が当たり前に身に付くわけではない。僕はそう思うのだが、あちこちのblogを読むと、その能力は非常に簡単なものだと思われているようだ。文が憎けりゃその人まで憎んでいい、なぜなら自分はその文を読んでその人のことがわかったからだ、と。

 そうなのかな。

 「文にその人が表れる」のであれば、文がおかしいと思ってもその人を否定するところまで行くとは限らない。いや、そう簡単に行けるはずもない。
 僕は、せっかく思い付いたのでこれも何かの縁、「文を憎んで人を憎まず」という姿勢で読んでいこうと思う。それがやはり自己矛盾で続かなくなるかもしれないが、それまでの間は。

 追伸:多分、追伸工房を読んでくださる方の多くは、もともと僕のことを知っている。いい加減さや人間の小ささが文のあちらこちらに出ているのを感じつつも、お付き合いいただいている。一方で、文だけを通じて僕を知っている方も、少しは読んでいただいている。この方々が、文ににじみ出ている僕の人となりを、同じように読み取っているのかどうか、興味深い。

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コメント

エントリやコメントを読んでいて、ひざがわりさんてどんな人だろうなー会ってみたいなあと、想像していますよ。

Blogのデザインがこれに変わって、ちょっと親しみやしさが増したような感じしてるかな〜!?

投稿: けろちゃん | 2004.12.25 23:54

文を憎んで人を憎まず。そうですね、ちょっとした書き方の違和感で書いた人のことまで嫌うのは短慮にすぎる気がしますよね。
文には、その人が現れるし、時には外面には現れにくい部分まで感じられたりしませんか? まぁ、そこが誤解を招く元でもあるんですが。
私は書くことで人が無意識のうちに表現してしまっている部分が好きだったりしますよ。
ひざがわりさんは、自分自身にも他の人にも誠実であろうとする人だなって思っています。

原典の『罪を憎んで人を憎まず』。今年は私も揺れましたが、『罪を憎んで人を憎まず』に戻りたいなと思っています。でも、まだ『罪を憎んで、人を哀れむ』ぐらいかな。哀れむなんておこがましいんですけどね。
温かいコメントありがとうございました。

投稿: ぷれこ | 2004.12.26 00:34

>けろちゃん
会ってがっかりされることが一番の恐怖です(苦笑)。
このデザインは少し前にリリースされて早速使いました。好みです。

>ぷれこさん
誠実ですか… 雪が降りそうなんでやめておきましょう(笑)。ちなみに当地は今シーズンはほとんど降らないのでは? という雰囲気です。
>>私は書くことで人が無意識のうちに表現してしまっている部分が好きだったりしますよ。
そうですね。大切にしていきたいですね。

投稿: ひざがわり | 2004.12.27 22:11

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