あの頃の、朝の元気
朝、会社の守衛室に顔を出し、部署名を言って鍵をもらう。一日の仕事はここから始まる。もう1ヶ月以上このリズムが続いている。新人時代の2年間もほぼ同じ生活だったが、今とは大きな違いがある。
僕が何も言わないうちに、守衛さんが鍵を差し出してくれていた。
「新人なんだから、早く来て、新聞も取りに行って、みんなの机を拭いてね」と先輩から言われた。20人足らずの部屋だったが、机を拭いている間に他の人が来てしまうというのは何となく嫌だったので、始業50分前には出勤していた。そんな早い時間に来る部署が珍しいからということではなかったが、僕が守衛さんに憶えてもらったのは早い時期だったと思う。
今、時間帯は多少違うものの同じことをしているのに、憶えてもらえそうな気配がまるでない。なぜだろう。
多分、新人の頃は、声も大きく、明るかったのだろう。そして、守衛さんの方を見て鍵を受け取ってから、下にある記入簿に書いていた。一方、今はお世辞にも声に元気があるとはいえないし、鍵を取る守衛さんの顔さえ見ていない。逆に言えば守衛さんから僕の顔は見えない。憶えてもらえないのも無理はない。
なぜ、朝の元気がこうも違うのか。何もわかっていない新人だから苦労もなかったのか、何もかも新鮮で勢いがあったのか、今の部署の忙しさと残業と寝不足が原因なのか、通勤電車が混んできてマナーも悪くなっているからなのか。自分でもわからない。
無理する必要はないけれど、朝、もう少し元気を出してみようと思う。「おはようございます」ではなく「おあーっす!」という感じで。
追伸:最近は早く来て机を拭くということもないようだ。
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