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書類の音で思い出したこと

 昔、サザエさんで見た話。
 波平さんが取引先の方と車に同乗していて、渋滞に巻き込まれた。イライラする取引先の方に対して、波平さんは「自分たちの車も渋滞を作っているし、イライラしても仕方がない」ことを伝える。すると、取引先の方が感銘し、商談もうまくいった。
 細部は違っているかもしれないけれど、こんなストーリーだったと思う。
 この話はなぜか強く印象に残っていて、それ以降、負の感情が出にくくなったような気がする。本来怒るべきところでも抑えてしまうようなことも含めて。

 これを思い出したのは、職場での先輩の一言があったから。
 書類を机の上に軽く放り投げたつもりだったが、留め具が偶然別の金属にぶつかってしまい、思わぬ大きな音が出て、書類を叩きつけたような感じになってしまった。夜遅い時間で、近くの席で残っていたのは斜め後ろに背中合わせのような形で座っていた先輩だけ。「すみません」と言う僕に対して、先輩の言葉。

「大丈夫だよ、ひざがわりさんが怒っているわけじゃないのはわかるから」

 仕事のしんどさが少し軽くなった気がした。同時に、逆の立場で、僕は何が言えるだろうと思った。

追伸:少なくともCMへの感情は忘れないようにしないと。

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